東京芸術劇場ガルニエオルガン

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東京芸術劇場のガルニエ・オルガン (⇒写真集


ホールのデザインと聴衆を意識した、マルク・ガルニエ作の3つのオルガン

 伝統的なスタイルのオルガンに加えて、ホールの現代的な外観とマッチした、斬新なデザインのオルガンが目を引く。面白いのは、両者の本体が回転盤の上に背中合わせに設置してあり、演奏会の趣向と選曲によってクラシックかモダンかのオルガンが選べ、客席に向けられること。また、前者は外から見ると1つのオルガンだが、実は調律の異なる2台のオルガンが組み込まれている。現代のオルガンの名匠として知られるフランスのマルク・ガルニエ(Marc Garnier)が手掛けた。1991年秋完成。

[この楽器・施設の成り立ちにまつわる話]

永田音響設計『永田音響設計News 91-5号(通巻41号)

[この楽器に対する演奏家の声] 松居直美さん「楽器解説
井上圭子さん「オルガニスト楽屋話 第7話

[この施設に関する情報のリンク]

音彩館クラシック・データベース:ホール「東京芸術劇場

クラシック:ルネッサンス様式+バロック様式 モ ダ ン

3種類の調律法による東京芸術劇場のオルガン (同劇場パンフレットより)

 オルガンには長い歴史があり、時代により国により違いがあります。東京芸術劇場の楽器の設計は、歴史上のいくつかの違うスタイルのオルガンを1つにまとめてみようという発想が基になっています。
 演奏台を眺めてみましょう。鍵盤の右と左には、音色を変えるストップのノブ、鍵盤同士を連結するカプラーのノブ、それに、他の付属装置を作動させるノブが付いていますが、これらは合わせて約150にものぼります。更に、このオルガンには外観上2つの顔があり、総計4種類の違った様式の音楽を表現できるという特徴があります。ですから、操作は便利にできてはいますが、やはり演奏者は若干の注意をする必要があります。

 この大ホールは全く現代的な装いをもっています。ここにヨーロッパの教会オルガンのようなデザインを持ってきたのでは調和いたしません。一方、17−18世紀のオルガン音楽が鳴ったとき、それに相応しい外観も欲しくなります。このジレンマを解決するために、回転方式を考えました。オルガンケースは背中合せに2つ作り、第1の面はいわばクラシックの顔、第2の面はモダンな顔にしました。前者はヨーロッパの伝統に沿った形で、後者はホールの美観の点でも、楽器の伝統の点でも、それぞれの長所を最大限に生かすことができたと考えています。

 最大のパイプを含む3列の32フィート管は、スペースと音響上の効率から、バルコニーの奥の壁に接して置きました。総計126のストップによって制御される約9000本のパイプは、14の音響グループ(ストップ・リストのHoofdwerkBorstwerkなど)に区分されて、8つの手鍵盤と2つの足鍵盤に配置されています。クラシック・デザインの面にはルネッサンス様式とバロック様式という2台のオルガンがはめ込まれていて、3段階鍵盤の演奏台が両方に共通して使われます。モダン・デザインの面はフランス古典からロマン派への移行期のオルガンが入っていて、5段階鍵盤の演奏台で演奏されます。全部のパイプに空気を送るためには5台の送風機と48個の風箱が必要でした。回転盤は速度可変の3つのモーターを備え、コンピュータで作動します。楽器全体で70トンの重さがあります。演奏者の便宜を計って、レジストレーション(ストップ組合せ)記憶のために3つのコンピュータが用意されています。キー(鍵)操作も、ストップ操作もメカニカル・アクションです。古い様式の楽器の方にはハンマー処理した鉛パイプを使っています。整音は、非常に良好なこのホールの音響条件に合わせて行いました。

 第1番目のオルガンは、1オクターヴの中に8ヵ所の純正3度を含むミーントーンで調律されており、オランダ・ルネッサンスの精神で作られています。ピッチは 467Hz。特にザムエル・シャイト、スヴェーリンク、シャイデマンの曲に適しています。

 第2番目のオルガンは、18世紀中部ドイツの味わいを持っており、バロック調律法、415Hzのピッチになっています。J.S.バッハやその同時代の人の作品に向いています。

 モダン・デザインのケースには、フランス古典期を基本にして、部分的にフランス19世紀半ばのロマン派の要素を取り入れたオルガンが入っています。調律はほとんど平均律、440Hzのピッチです。シンフォニックの曲にも、フランス古典オルガン音楽にも適しています。

 このように、オルガニストは弾こうとする曲に応じてオルガンを選び、音楽学の立場から最もオリジナルに近い演奏をすることが可能になっています。

・設計・製作主任: エリック・ムーレイ

・工房主任:

コレット・モネイ

・メカニック:

ディディエ・スベヒト

・組み立て:

ジャン・クリストフ・メール

・調整・整音:

フランク・ビストッキ

・ストップ数:

バロック 37
ルネッサンス 26
モダン 63

・パイプ数:

約9,000

・完成年月:

1991年10月


オルガンのタイプ 調律法 ピッチ 鍵盤音域

パイプ材


クラシック ルネッサンス(17世紀初頭/オランダ) ミーントーン(Mean-tone) 467 大/小/上:C - d'''
足:C - d'

バロック(18世紀/中部ドイツ)

バロック(Baroque)

415

大/小/上:C - f'''
足:C - f'

鉛/錫

モ ダ ン

フランス・シンフォニック

ほぼ平均律

440

大/小/上:C - a'''
古典増音/反響増音:c - d'''
足:C - g'

錫/鉛


ストップ・リスト

クラシック/ルネッサンス・オルガン

Hoofdwerk
  1. Bourdon 16'
  2. Preastant 8'
  3. Quintadeen 8'
  4. Octaaf 4'
  5. Quint 3'
  6. Woudfluit 2'
  7. Mixtuur 2' 6-12 st.
  8. Trompet 8'
Borstwerk
  9. Holpijp 8'
10. Blockfluit 4'
11. Quintfluit 1 1/2'
12. Regaal 16'
13. Dulciaan 8'
14. Schalmei 4'
Bovenwerk
15. Speelfluit 8'
16. Octaaf 4'
17. Sexquiaiter 2 st.
18. Superoctaaf 2'
19. Vox humana 8'

Pedaal
20. Preastant 16'
21. Octaaf 8'
22. Superoctaaf 4'
23. Mixtuur 2' 6 st.
24. Bazuin 16'
25. Trompet 8'
26. Cink 2'

Accessoires
 - Tremulanten
     Hoofdwerk, Borstwerk,
     Bovenwerk, Pedaal
 - Cymbelster
 - Nachtigaal
クラシック/バロック・オルガン
Hauptwerk
  1. Principal 16'
  2. Prästant 8'
  3. Rohrflöte 8'
  4. Octav 4'
  5. Spitzpfeife 4'
  6. Nasat 3'
  7. Superoctav 2'
  8. Mixtur 1 1/2' 5-8 f.
  9. Trompete 8'
10. Vox humana 8'
Kleinwerk
11. Gedackt 8'
12. Quintadena 8'
13. Prästant 4'
14. Flöte 4'
15. Sesquialter 2 f.
16. Waldflöte 2'
17. Mixtur 2' 5 f.
18. Krummhorn 8'
Oberwerk
19. Rohrflöte
20. Blockflöte 4'
21. Traverso 4'
22. Cornet 3 f.
23. Quintlein 1 1/2'
24. Regal 8'

Pedal
25. Prästant 32' (tr.)
26. Octav 16' (tr.)
27. Superoctav 8' (tr.)
28. Subbass 16'
29. Rohrflöte 8'
30. Principal 4'
31. Nachthorn 2'
32. Mixtur 2' 5 f.
33. Contraposaune 32'
34. Posaune 16'
35. Trompete 8'
36. Trompete 4'
37. Zink 2'

Accessoires
 - Tremulanten
     Hauptwerk, Kleinwerk,
     Oberwerk, Pedal
 - Zimbelstern
 - Nachtigaal
 - Copula
     Hauptwerk, Kleinwerk
モダン・オルガン
Grand orgue
  1. Montre 16'
  2. Montre 8'
  3. Bourdon 8'
  4. Flute harmonique 8'
  5. Gros nazard 5 1/3'
  6. Prestant 4'
  7. Flute 4'
  8. Grosse Tierce 3 1/5'
  9. Nazard 2 2/3'
10. Doublette 2'
11. Tierce 1 3/5'
12. Grand cornet 5 rgs.
13. Fourniture 5 rgs.
14. Cymbale 4 rgs.
15. Trompete 8'
16. Clairon 4'
17. Voix humaine 8'
Petit orgue
18. Bourdon 16'
19. Diapason 8'
20. Flute traversiere 8'
21. Cor de nuit 8'
22. Prestant 4'
23. Flute douce 4'
24. Quinte 2 2/3'
25. Duoblette 2'
26. Tierce 1 3/5'
27. Larigot 1 1/3'
28. Fourniture 5 rgs.
29. Clarinette 8'
30. Cromorne 8'
Recit expressif
31. Cor de nuit 16'
32. Flute douce 8'
33. Gambe 8'
34. Voix celeste 8'
35. Flute octaviante 4'
36. Fugara 4'
37. Octavin 2'
38. Sesquialtera 2 rgs.
39. Plein-jeux 3 rgs.
40. Basson 16'
41. Trompete harmonique 8'
42. Clairon harmonique 4'
43. Hautbois 8'
44. Voix humaine 8'
Recit classique
45. Bourdon 8'
46. Flute 4'
47. Cornet 5 rgs.
48. Trompette 8'
49. Clairon 4'

Echo classique
50. Flute 8'
51. Cornet 5 rgs.
52. Trompette 8'
Pedale
53. Principal 32'
54. Contrebasse 16'
55. Soubasse 16'
56. Grosse flute 8'
57. Violoncelle 8'
58. Principal 4'
59. Cor de nuit 4'
60. Contrebombarde 32'
61. Bombarde 16'
62. Trompette 8'
63. Clairon 4'
Accessoires
 - Tremblants
     Grand orgue, Petit orgue,
     Recit expressif,
     Recit/Echo classique
 - Tirasses
     Grand orgue, Petit orgue,
     Recit expressif
 - Accouplements
     Grand orgue, Petit orgue,
     Recit expressif

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