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Program'n'Review/プログラム・アンド・レビュー

Start 2000 / オルガン連続演奏会U

続・ふたつの風の音

―表裏2台のオルガンで聴くB-A-C-Hの夕べ―

日時:2000年10月27日 開演19:00
会場:東京芸術劇場
楽器:ガルニエ・オルガン(クラシック&モダン)
演奏:エルンスト-エーリッヒ・シュテンダー
Ernst-Erich Stender

Program Notes

ごあいさつ

この頃、あちこちのホールで無料のランチ・タイム・コンサートが開催され、パイプオルガンに親しみを持ってもらおうと努力されています。

E-E.シュテンダーの一言で始まった「パイプオルガンを楽しむ会」。私たちも来年から年一回、東京から地方へも発信したいと思っています。これはしかし、思い切りの要ることのようです。一回目はともかく、回を重ねて、果たしてどれだけの方々が興味を持ち続けてくれるのか、です。どこのホールでも、そこが難しいと言います。でも、私は信じてみます。我々日本人の文化意識の高さと、感性の豊かさを。そして何よりもパイプオルガンの魅力と可能性を。

この楽器は、今日どんな響きで我々を楽しませてくれるのでしょう。

壮大な響き、華麗な動き、済んだ音色。彩り豊かな風の音に耳を傾け、身を委ね、心洗われる秋の一夕でありますように。

パイプオルガンを楽しむ会
代表 橋本侑生子

 

聖霊よ、来れ Komm, Heiliger Geist, Herre Gott (BWV 651)
いわゆる「ライプツィヒ時代の18のコラール集」の第一曲に、バッハはこのコラール幻想曲を据えている。この作品は、ペダルで奏される定旋律を持った壮大なトッカータである。バッハは幻想曲という用語を、バスに讃美歌旋律を持つ定旋律コラール曲に使用している。トッカータは、演奏技法を誇示する、華やかな曲である。

オルガン小品 Piéce d'Orgue (BWV 572)
この作品には、多くのフランス語による表示がなされていて、大いなる謎とされている。というのは、バッハの作品において、フランス語表示は1714年に作曲されたカンタータにかろうじて見出されるだけだからである。三つの楽章は、8分の12拍子のTrés Vitment(急速に)、Gravement(重々しく)、そしてLentement(ゆるやかに)となっている。この作品は、バッハの初期作品(1700〜1708年)に属する。

おお人よ、汝の大いなる罪を嘆け O Mensch, bewein dein Sünde groß (BWV 622)
この作品は、「オルガン小曲集」の中で最も有名と言える、豊かに装飾されたコラールである。それぞれの音符には魂が吹き込まれ、実に瞑想的である。特に転調を伴い、ゆっくりと繰り広げられる終わりの半音階は印象的である。「オルガン小曲集」とは謙遜した表現で、バッハが才能ある弟子たちに伝えたい技術を盛り込んだオルガニスト手引書でもあり、重要な作品集と言える。

前奏曲とフーガ ト長調 Praeludium und Fuge G-Dur (BWV 541)
前奏曲とフーガという対の形式が、ここでは主題的にお互い密接な関係にある。つまり、前奏曲に表われるトントンとたたく和音の繰り返しが、フーガの中でテーマとして踊るような様子で存在する。そしてフーガは密に鋭く不協和音的に続けられ、それがいっそうフーガらしさを増し、成功している。バッハの時代、前奏曲は本来導入の役割を果たす楽曲で、それがフーガ(追いかける)という形に受け継がれて展開する。

幻想曲とフーガ ト短調 Phantasie und Fuge g-Moll (BWV 542)
バッハの、最も感銘深い作品群(オルガニストとしての力があふれ始めた頃〜1717年前後)に属するこの幻想曲は、その表出内容から全体として「ロマンチックな」と言われる。叙唱的・即興的トッカータが二つのフーガで中断される。そのフーガの巧妙な対位法は、聴く物に縫うように迫ってくる。和声は、当時のオルガン(同じ強弱に調律し得ない)で表現できた転調的な動きの連続で、最後を包み込んでいく。フーガのテーマは、オランダ民謡を思い起こさせる。

B-A-C-H による前奏曲とフーガ Praeludium und Fuge über B-A-C-H
BACHの名は、そのままドイツ音名でシのフラット-ラ-ド-シとなる。フランツ・リストは、作曲に際して、B-A-C-Hという素材とその展開にこだわっていない。彼は、この作品に4つの音をほとんど素因として置いている。そのB-A-C-Hという表出は前奏曲とフーガという対の形式の中で発展していく。しかもリストは、その構成に数の意味さえも加えたことで入り組んでいながら、きっちりとした形にでき上がっている。

来れ、異邦人の救い主 Num Komm der Heiden Heiland (BWV 659)
このコラール(讃美歌)は、豊かに装飾された定旋律がソプラノに提示される。この装飾されたメロディは一つのソロレジスター(単声音栓)で演奏される。この曲も「ライプツィヒ時代の18のコラール集」の中の一曲。

B-A-C-H による幻想曲とフーガ Praeludium und Fuge über B-A-C-H op 46
今日数え切れないほど多くの作曲家と同様に、レーガーもB-A-C-Hという4つの音による作品を書くことによって、偉大なる作曲家の記念碑を建てた。調和の取れたモチーフの暗示は、作品にきちんとした枠を与えている。この作品(1900年に作曲)が、この一世紀のマイルストーンとして、すべての新しい和声学にとって画期的であったことに議論の余地はない。

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