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2000年1月14日

『オールマイティ』に託した思い

 16年前、私は仲間内のオペラ活動に疲れていました。当時は自主公演オペラが多かったのです。

 自分は元々オペラ志向ではない。どんな演奏活動をしたいのかを考えていて、フト、そういえば楽しい演奏会ってあまりないなあ、と気付きました。コンサートというと、たいてい四角いホールの中であちら(舞台)とこちら(客席)に分かれ、“聴いてくれ!”“聴いてあげる”という雰囲気です。その内容も、例えば歌なら、春に秋の歌がプログラミングされていたり、オペラアリア、イタリア歌曲の会かと思えば一部日本歌曲が入って統一性がなかったり、と演奏者の都合で構成されたプログラム。そして、パンフレットには、お決まりの長々とした経歴と調べ尽くした曲の解説です。もちろん、曲目がバラエティに富んでいるのも良いし、プログラミングが演奏家の独断によるものでも良い。でも、そこに演奏する人のテーマなり、メッセージなりが見えてくる、そんなコンサートをしてみたいと思うようになったのです。

 企画室オールマイティという名前は、20年前から使っています。自分の生徒たちの発表の場を作ろう、自分もその中で勉強しよう、と思い立ったものの、紋切形の、師匠と弟子との内輪だけの発表会ではツマラナイ。いろいろ欲が出たわけです。でも、実際始めるとなるとすべては主催者である自分だけが頼り。そこで、“何でもできる”ではなく、“何でも一人でやっていく”という意味のオールマイティを使い始めました。もちろん、オールマイティなんて大それた名前、他に付ける人などいないだろうというヨミもありましたが。

 そうして始めたコンサートの名を『よ・せ・な・べ』といいます。周囲からは、食い気のある私らしい、と言われていますが、それはまさに寄せ鍋そのものの寄り合いコンサートなのです。生徒さんと私だけではなく、演奏活動の場に恵まれない音楽家たちも誘って、お互いの勉強・向上会にしているからです。寄せ鍋の由縁はそれだけではありません。出演するのは、具でいえば“チクワ”に当たる、レッスンを始めたばかりの小さな子供たちから、良い出し汁となる発展途上の音楽家志望者、そして“タイ(鯛)”と呼ぶに相応しい、第一線で活躍中のプロの演奏者まで、味の異なる、さまざまな技術と経験の持ち主です。そんな『よ・せ・な・べ』コンサートも今年の1月、20周年を迎えます。

 そのように意志固く(?)使い始めたオールマイティという名称ですが、企画室オールマイティとして使うようになったのは、自分の望む演奏活動を実現するために始めたサロンコンサート、『お茶の間こんさあと』からです。まあ、自分のコンサートを自分でやっていると見られるよりも、どこかの事務所が企画していると見られる方が対外的に良いかな、と考えたわけです。

 自分が歌いたい歌を歌い、お客様も“あの歌が聴けた”“この歌が聴けた”と喜んでくださる。そのひとときがリラックスタイムとなり、歌う私と客席が音楽を通じたコミュニケーションで結ばれ、親しくなれる。その共有したひとときがお互い印象に残り、記憶に残る。そんなコンサートを開きたいという思いで始めたのが『お茶の間こんさあと』。16年前のことです。これまで12ヶ月分プラス3回、合計15のテーマのプログラムを終えしました。

 コンサートの企画制作で私が特に意識するのは、季節・時節に合ったプログラム作りと様々なジャンルからの選曲です。少しでも親しみのある曲を交えて、聴きに来てくださる方々にクラシック歌曲に耳を傾けていただこう、という主旨は共通しています。

 橋本侑生子のコンサートマネジメントを目的に事務所という体裁でスタートした企画室オールマイティですが、収支をまったく考えないおおらかな(?)性格と生活を“少しはまとめたら”という意見に従い8年前に法人化しました。会社組織にしたとはいっても、そんなに簡単にこの性格と生活が変わりようもなく、“少しはまとめた”結果、何とか生きている自分と向き合っている今日このごろ。でも、心は豊かです。

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